組織とは、個としての人間一人ひとりに対して、また社会を構成する一人ひとりの人間に対して、何らかの貢献を行わせ、自己実現させるための手段である。
組織は、それを構成する人間が、貢献を通じて自己実現できるようにする手段、といった見解は、苦悶しながら働いてきた人間に開放感をもたらす。なおかつ「組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある」
組織の健康を判定する基準は、構造の美しさ、明快さ、完全さではなく、成果である。
そのうえで「成果よりも努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。仕事のためではなく成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない」
① 成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸であり曲芸は成果でない
② 成果とは長期のもの。失敗しない者を信用してはならない(失敗しない者は、見せかけか、無難なこと、下らないことしか手をつけない者)
③ 成果とは打率である。弱みがないのを評価しない。優れている人ほど間違いを犯す
つまり、成果で大事なのは、成果の長期的観点からみた打率であり、その意味では、失敗しない人間は信用できず、逆に、失敗をおそれず「新しいことを試みる」人を重んずることが大事という。
マネジメントにおいて、最も重要なものは真摯さである。真摯さを絶対視して、初めてまともな組織と言える。それはまず、人事に関わる決定において象徴的に表れる。真摯さは、とってつけるわけにはいかない。すでに身につけていなければならない。ごまかしがきかない。ともに働く者、特に部下に対しては、真摯であるかどうかは二、三週間でわかる。無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は許さない。決して許さない。彼らはそのような者をマネジャーに選ぶことを許さない。