役場の窓口に来る住民を「お客様」と呼ぶところがある。
いつのまにか、行政はサービスを提供し、住民はそのサービスを受けるという関係が作られてきている。住民が “公共”を行政任せに、行政は”公共”を独占してきた結果、行政の肥大化、非効率化も進んだ。そして、財政問題を通じて、そのツケは住民に回ってきている。
地域社会の基本にある「住民自治」を考えれば、“公共”を担うのは行政だけではない。そうした問題意識を背景に「協働」と呼ばれる取り組みが始まってきているが、大切なのは、「協働」とする事業の選択、行政と民間との役割分担、協力関係などの構築であり、これは行政サービスさらには行政の存在そのものについて本質的な理解が前提となる。
“公共”を多様な主体が担うために、行政の立場から働きかける一歩をどう踏み出し、進めるか、民間の側も社会が豊かになる「公益の実現」を念頭にして行政にどう働きかけるか、行政と民間が一緒になって「協働」が目指している社会はどのようなものであるかを考える時が来ている。お互いのパートナーシップが構築されているかということをきちんと確認しながら進めなければ「協働意識」は醸成されない。