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商業の再生政策の必要性
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経済とは、「人々が暮らしていくうえで、お互いに支えあう枠組み」のことであり、人々が仕事の成果を持ち寄って売買する市場は、経済の原型ととらえられる。

商品流通を効率化させようとすれば、個人商店よりもチェーン店や大型店が優位であることも確かだが、ヨーロッパの多くの街では、商店街の個人商店が依然として人々の生活にしっかりと根付いている。フランスやドイツのような、世界規模の巨大流通企業が存在する国でもそうだ。これは、どういうことなのだろうか。その答えは、それぞれの国の商業政策にある。

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フランスでは、街の景観を守ることを目的に、大型店の開設は厳しく規制されてきたが、その規制は90年代半ばに一段と強化された。フランス最大の流通企業であるカルフールは、ここ数年、国内に大型店をまったく出店できない状況になっている。フランスで市場や個人商店が残っているのには、こうした背景があるわけだ。
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ドイツでは、個人商店の存在を守るためという理由で、小売店の営業日、営業時間が制限されてきた。日曜日は飲食店以外のほぼすべての小売店が休業、平日も以前は午後6時半、現在でも午後8時には店を閉めることが定められていた。そのため、企業経営のチェーン店は、長時間営業で顧客を引きつける戦略が採れず、個人商店に対して決定的な差を付けることができないでいた。2006年より「閉店法」の権限が国から州に移譲され徐々に緩和されつつある。
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フランス、ドイツでは、商業規制によって、それぞれの国の人々が歴史を通じて築いてきた生活文化と、商品の売り買いを通した地域住民間のコミュニケーション、そして、選択肢としての個人商店主という生き方が守られてきた。いずれも日本では失われつつあるものだ。
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規制の恩恵は、大手流通企業にも及んでいる。出店規制、営業規制はチェーン店同士の競争を抑制し、企業が利益を上げやすい環境が生じている。利益は上がるが規制のために国内での成長が難しいという状況で、フランスのカルフール、ドイツのメトロといった大企業は、押し出されるように国外での事業を拡大し、グローバル・リテーラーとして成長してきたのである。
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小売店の営業時間が限られていたり、大型店の数が少なかったりという状況は、そこで暮らす人々に、多かれ少なかれ不便を強いることになる。商品の価格も高めに維持されやすい。それらのデメリットと、前に述べたメリットをどうバランスさせるか。突き詰めれば、それが商業政策のポイントということになる。
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by stylejapan | 2014-10-07 13:36 | 商店街の活性化
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