商店は、「第三の場所」という表現がある。
「第一」は、家族が集う場所であり、「第二」は、友人や職場の同僚と集う場所。
「第三」は、しがらみから解放された自分が居る場所のことをいう。
ところが、地方の四分の三の若者にとって、ショッピングセンターが「第三の場所」になっているという。
それも一番近いショッピングセンターではなくて、車で一時間以上走らせた場所にまで行くらしい。
ショッピングセンターの中にある店の多くは、チェーンシステムによって運営されているが、普通の商店との違いとしてあまり認識されていない点のひとつとして、客の九割は会計の時にスタッフと目を合わすことはない。その割合は、コンビニではさらに高くなる。チェーンシステムにおいては、人間は大きな自販機の歯車の一つでしかない。
商店街では、商人家族の人生や生活にまで想像を働かせることがあるが、ショッピングセンターでは、人間同志の交流は希薄になるだろう。
子供の頃から、ショッピングセンターに馴染んで、しかも大人になっても、そこが「第三の場所」であるとしたら、少し寂しいと思う。
昔から、商店街は地域の子供たちが人々の営みを見て大人になるための準備をする場所と言われてきた。
外国の街並みを彩る様々な商店は、地域の生活文化を支えてきたと言っても過言ではない。そうなるためには、「商店」も他の仕事と同様にプライドを培いながら営んでいる生業であるという社会の理解をどのようにして浸透させるかだと思う。
そして、豊かな社会空間の実現のためには、個人商店の復活は不可欠だ。