人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ
T・E・I・B・A・N 展
【膨大な情報によって、ややもすると人の思考や判断が停止しがちな現代社会において、忘れかけてきた感動を呼び覚ますような仕事ぶりを示す】
T・E・I・B・A・N 展_e0025086_00183729.jpg
「作り手と使い手の垣根を取り払う」という考え方には、特定の地域の歴史を絡めてでも消費性向を出来るだけ効率良く盛り上げ地場の産品の拡販を期待する動きとは異なるコンセプトがある。
個々の成果をアピールする場ではなくてイノベーションのための発想をつかむ機会である。地場産業にとっては、過去の延長線ではない発想こそが最大の課題であり、製品やサービスの改善や質の向上ではなくて、過去との不連続、過去との決別の上に今までなかった発想を手に入れることが重要であるからだ。

製品中心の考え方からの脱皮がポイントとなる。「仕事」を薄っぺらなマネーゲーム化した風潮から大きく修正していくことこそが、心の豊かさを大切にする社会空間につながるはずである。モノづくりやサービスの根底にある「仕事に対する想い」こそが生活者との信頼関係を構築する原点と捉え、それぞれの事業者は、本展を自分たちが信じる「本当の価値あるモノやコト」の評価を得るための舞台と捉え、それぞれが自らの世界観を表現する空間づくりにも挑んでいる。

違っている所をお互いに認め合って共存するのが自由度の高い社会空間だとすれば、自分で考え、自分で判断し、自分で選択し、そして勿論その結果責任を取る、という強い個人を沢山つくり出さなくては社会が活性化している状況には至らないはずである。参画者の一人一人がスペシャリストとして自立することが期待され、全員が新しい価値を生み出す原動力になりうるという点において、従来型の業界団体のようなピラミッド型組織はそぐわない。それゆえにこのようなプロジェクト組織においては会長、副会長のようなリーダー的存在は不要であることを理解する必要がある。

「個」が力を十分に発揮できる社会、「個」がいきいきと活躍できる社会は、多様な「豊かさ」を追求できる選択肢が用意されている社会であるだろう。しかし、その選択肢は必ずしも「制度的な選択肢」ではないはずであり、制度的な選択肢は個々人の選択をその選択肢に限定し、制約することになる。そして、「制約」は、多様な発想にはつながらない。
時代の転換期にある「今」に必要なのは、今までに無かったモノゴトを発想する人を育むことが求められる。数字に表れる成果主義、悪しき平等主義によって後退した「個」の活性化、力強い「個」の誕生を促進する「プラットフォーム」と「ネットワーク」の形成によって誰にでも開かれた参加・活動の場と機会が用意されていることと、そこにおける「多様な豊かさの追求」を許容し、認め合えるような文化を育むことが重要だと思う。

現代のように社会の隅々にまで張りめぐらされたネットワークがもたらす膨大な情報によって、ややもすると人の思考や判断が停止する中においては、忘れかけてきた感動を呼び覚ますような仕事ぶりを示すことこそが豊かな社会空間づくりに貢献するのではないだろうか。








by stylejapan | 2014-06-29 22:33 | 地場産業の活性化
<< Choosing Wisely... ブランドとは >>