商店街の活性化策は、街全体の魅力づくりの一環だと思う。
郊外ではなくて、その街の中心に住みたいと思わせるくらいの魅力的である街を目指すべきだろう。
そのための商店街の活性化でなければ成功しないと思う。
「地域の個性」というのは、いくらコストをかけたとしても簡単に出来上がるものではない。
長い歴史の上に蓄積された佇まい、建物、風景、文化、そこにいる人々の魅力が“個性”を印象づける。
その集大成ともいえる集合体が商店街であったはずだ。
海外に旅した時にも街並みを印象づけているのが“商店”だ。
その意味では「観光」の魅力づくりとも重なる。
商業は「街の文化」であり、「街の華」であるということへの理解が必要だと思う。
生活の中の“第三の場”という概念がある。
人が交わる場所を三つに分け、第一の場は家族や隣人とのコミュニケーションがなされる場所、第二の場は職場の同僚や取引関係の人と交わる場所、それらに対して第三の場は利害関係などない人同士のコミュニケーションが図れる場所のこと。
ストレスにさらされている現代人にとっては、家族関係・職場関係以外に息抜きの場、活力再生のための場所として、この第三の場が不可欠といわれてきた。
「第三の場」として商店街は存在感を出さないといけない。それぞれ商店の営みに触れることで他人の人生を垣間見る、子供たちも商店街での大人のやり取りから社会に出る準備が出来る、自らの買物を通じて得られる他人との交流など、それらによって商店街は「第三の場」を提供できる。そのことは、郊外の大型スーパーやコンビニ、各種チェーン店などコミュニケーションがマニュアル化された「場」とは異なるものだ。
同時にコンビニやドラッグストア、その他のチェーン店などが目立ちすぎるゆえに、地域の個性が損なわれている。
有名な旅客列車“エイブラハム・リンカン”の機関士を祖父に持ち、アメリカの旅客鉄道路線を乗りつくした米国の旅行記作家Terry Pindell/テリー・ピンデルは、著書“A Good Place to Live”の中で、各地を旅した彼が考える素晴らしい街とはどのようなものか、街の魅力を構成する要素として、次の6つをあげている。
(1) The Cheers Factor ・・・(人々が歓声をあげたり、楽しく会話する光景があちらこちらで見受けられること)
(2) The Foot Factor ・・・(歩いてショッピングや散歩が出来ること)
(3) The Cake Factor ・・・(文化的な刺激や楽しみが感じられること)
(4) The Someplace Factor ・・・(他の街にはない印象的な場所があること)
(5) The Comfort Factor ・・・(街の空気、雰囲気が気持ちが良いこと)
(6) The Fudge Factor ・・・(意外性があること)