「薬局」という名称は、調剤を主に行ういわゆる調剤薬局だけを指すものではない。調剤室を備えるなどの施設基準を満たし、薬局開設許可を受けていれば、ドラッグストアも薬局である。
薬局の役割には大きくはふたつある。
ひとつは、副作用を未然に防ぐこと。
ふたつ目は、自己治療(セルフメディケーション)のサポートである。
長年にわたって、薬局および開局薬剤師と生活者との間には高い垣根があると思う。
約20年前、当時の薬務局長は“調剤薬局”という名称の使用は、「薬局」が調剤を担っているということへの誤解につながる、また、病院の前での調剤薬局の乱立は“医薬分業”のイメージを間違ったものにするとの見解を出し続けていた。
副作用を未然に防ぐには、薬についての社会教育を浸透させなければならないが、例えばOTC薬(個人で買える医薬品)の薬効別分類数は一般の人々が想像するよりも驚くほど少ない。
さらに副作用の発現を未然に防ぐには、薬の重複、薬の飲み合わせ、疾病を含む体質との問題、食事との相互作用のチェックが欠かせないが、特に重複や飲み合わせのチェックのためには、服用する薬の「一元化管理」が基本的な考え方だ。
それゆえに、病院の門前薬局の存在は、一元化管理が徹底しないために“医薬分業”のイメージを間違ったものにするとの指摘につながっていた。
これらのことを誰が社会の中での一般常識として浸透させるのだろう。
薬に従事する人は、そろそろ物事の本質の打開に向けて腰を上げる時期ではないのだろうか。
自らの仕事に対する真の“想い”が無いのはさびしいことだと思う。