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カテゴリ:OTC医薬品の開発( 7 )
医薬品の本質を見極める~消費者と共に歩む製薬ビジネスを目指して
「医療」、「福祉」、「食事」、「仕事」は、誰にとってもとって大切な課題であり、これらは、国主導で守るべきだと思う。

ジェネリック医薬品(コピー医薬品)のテレビCMを見て違和感があるのは、ジェネリック医薬品は国民のため、あるいは日本の医療のためという印象を与えようとする点だ。OTC医薬品プロジェクトの特別委員をお願いした東大の松木教授も指摘するが、ジェネリック医薬品の宣伝文句に、中身が同じで値段が半分以下、のような表現がある。ジェネリック医薬品は先発医薬品の全く同じコピー商品か?答えは「ノー」。同じなのは主成分だけ。飲み薬の場合、錠剤かカプセルか、賦形剤(錠剤、散剤(粉薬)、顆粒剤などの固形製剤に、成型、増量、希釈を目的に加えられる添加剤)の種類と量、コーティングの種類、錠剤または顆粒の大きさなどで、主成分が全く同じで同じ量が入っていても、薬の作用が大きく変わる。だから「育薬」が必要だ。賦形剤として入っているレシチンなどでアレルギーを起こす場合もある。
飲んだ薬が直ぐに作用するわけではなく、胃や腸で吸収され、血流に乗って、作用する場所まで運ばれる必要がある。肝臓などでの代謝、肝臓(胆汁中へ)や腎臓(尿中へ)からの排出は薬の濃度を低下させる。薬の作用には、血中濃度と持続時間が重要だが、これは主作用も副作用も同じ。作用を発現するためには一定値以上に血中濃度が上がる必要があるが、上がり過ぎると副作用のリスクが高まる。こうした体内動態が剤形で大きく異なる。

先発医薬品は長い使用経験があり安全使用についての十分な情報の蓄積がある(育薬の成果)。しかし、ジェネリック医薬品にはそれがない。処方を変更してジェネリック医薬品に代えるということは、安価というメリットと引き換えに、先発医薬品に比べて十分に有効性と安全性が確認されていない薬を使用するリスクを患者が負うことになる。」 そして「ジェネリック医薬品はジェネリック医薬品メーカーのため」と結論付ける。

新しい薬に対して政府は安全性と有効性を確認して認可するが、それだけだと患者への一方通行だ。そこに“薬を育てる(育薬)”という考えが重要になる。育薬は医師・薬剤師が患者への効果や副作用をフィードバックさせ、その情報を薬の有効利用に活かすことだ。つまり、一方通行ではなく双方向で、薬の適切な使用法を確立し、より優れた薬になるように育てるわけだから、コンビニなどで医薬品を販売する時の問題点の一つは、このフィードバック情報が無くなってしまう=育薬の機会が失われることにある。  育薬の概念は、ちょっと分かりにくいかも知れないが、正に薬の本質である。
薬は、いつでも、誰でも、どんな状況でも同じ効果を発揮するのではなく、使い方によっては効果が異なり、思わぬ副作用が出てしまう。つまり、薬は適正な使用法と組み合わせて初めて有効になる。『ある薬をどれくらいの用量でどれくらいの期間使用すれば、日本人のどのような疾病の患者のどれくらいの割合に、どのような効果や副作用があったか。あるいは無かったか。』という情報は日本の社会で長年にわたって得られた貴重なものであり、社会の財産でもある。薬の効果は人種や食習慣、生活習慣、良く用いられる他の薬との相互作用、さらにはコンプライアンスなど患者の意識の違い(=文化、社会の成熟度)によっても変わるので、ある国や地域のデータをそのまま当てはめるわけにはいかない。
健康保険財政の悪化のために日本の医療費を下げる必要に迫られており、その一つの手段としてジェネリック医薬品の使用を促進しようとしているが、長期的には医療費低下に結びつかない。
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by stylejapan | 2010-04-10 10:47 | OTC医薬品の開発
漢方薬の保険適応について、ひとりの医師の意見
私はいきなり保険を切ることには賛成しません。しかしこのまま漫然と使い続ける状況が続いていいはずがありません。そもそもわれわれ医師は漢方の教育を殆ど全く受けていません。”自称漢方もできますよ医”という方々もどれだけ時間を費やして漢方の概念を学び経験豊かな指導者の下で修行を積んだか定かではありません。1年を漢方の修練だけに費やしたと言う自称漢方医がどれだけいるのでしょうか?1年だけでも足りないことは明らかですが。ちゃんと使えるはずのない者に使用許可を与える方の責任感の無さも問題ですがそれに甘えきり、まともな知識・経験もなく「漢方医」を名乗っている医師に漢方を使わせても製薬会社以外はだれも利益を得ることは無いでしょう。例え一部の漢方薬に薬効があってもこの無法地帯ではまともな治験も行うことすら難しいかもしれません。私は漢方には全く別の教育制度(漢方学部)と免許を整備して免許のある人間のみが使えるようにするか、医学部を1年延ばして国家試験に漢方を組み込む程度の改革が必要だと思っています。保険が切られることにより能力の無い多くの漢方医が淘汰され漢方医療の質の向上は望めると思いますが、能力のある漢方医の方々まで影響を受けるのはフェアではないと思います。
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by stylejapan | 2009-12-04 10:43 | OTC医薬品の開発
東大寺薬湯
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東大寺薬湯の製品化について

東大寺は奈良時代に聖武天皇が国力を尽くして建立された。光明皇后は医療施設として施薬院を設け現在に至る。薬は仏教の伝来とともにわが国に伝わったが、中でも薬湯は重源上人に東大寺の復興造営の際、用材を伐りだす杣仕事に従事した人々のからだの疲れ、打ち身、くじきなどの治療ために用いられ35箇所の石風呂が現在の山口県徳地町で造られた。薪で熱く焼いた石の上に濡れむしろ、薬草、ござを敷き衣服のままで寝ころぶ、いわばミストサウナだ。現在も修行で荒れた肌の修復や疲労回復のために入浴剤として薬草を用いる。この伝統をパッケージングした。

薬湯に込められた想い

日本の伝統的医療では、病因を3つに分類する。感情の持ち方やストレスによる内因、細菌やウイルスによる外因、生活習慣による不内外因だ。そして治療において養生と仏教、神道の3つの知恵を活かしてあたる。特に内因の治療には文化的な知恵が大きな役割を果たした。「あの世があると思う」は文化(知恵)であり「あの世がないと思う」は文明(知識)とすると、知識偏重で生きていると気が滅入り病になるという考え。現在は西洋医学の考えが主流だが、平城京が遷都された当時の健康を願う知恵を再登場させて、誰もが本来持っている、病と闘い、治す力(自然治癒力)を高め、身体を整えることを基本にしている漢方の知恵を東大寺薬湯として製品化。

取組みのきっかけ

今の時代、健康に対する関心は高いなか、日本の伝統的医療に目を向けて、その中でも誰もが家庭で手軽に実践できる薬湯に着目した。

奈良には県民に愛されると同時に手土産として買い求められる商品が少ないので、東大寺を中心に皆に親しまれる場所で販売して頂きたい。同時に地場産業として製薬の伝統が続く県内企業の地域貢献になるとともに、現代人のライフスタイルの中での薬のあり方を追求しながら生活者の健康生活に寄与する発想を養っていきたい。

デザインする上での考え

仏教のイメージは葬儀にまつわるものが強いが、本来は「今をどう生きるか」がテーマである。前述のように「知恵を活かして自由に生きる」がコンセプトと云えるかもしれない。内省的な部分がウエイトを占めるので、何かを与えないデザインを心掛けた。
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by stylejapan | 2009-10-04 19:38 | OTC医薬品の開発
利便性や経済性だけでは語れない医薬品
OTC薬開発プロジェクトの特別委員を御願いしている日本薬学会会頭の東大・松木教授の意見です。


 残念ながら医薬品は未熟な商品です(以前は、“欠陥商品”という表現を使用していましたが過激すぎるとの指摘をうけたのでやめました)。他の製品であれば、いつどこで誰が購入し、いつどこで誰が使用しても同じように使えます(機能します)。安全面についても製造者の責任が問われ、製品への安全対策がどんどん進んでいます。加熱や過電流(電熱製品など)、空焚きや不完全燃焼(風呂や湯沸かしなど)、地震時の転倒(ストーブなど)、などの危険な事態が想定される場合には、最悪の事態を想定して、センサーをつけ安全装置を作動させるなどの対処をしています。こうした製品の場合には、安価(経済性)で簡単に入手できる(利便性)ことが好まれます。さらに、電気製品の性能はほとんどの場合に一目瞭然です。

 ところが医薬品の場合はどうでしょう。理論的に、副作用が全くない医薬品はありえず、適正に使用することが不可欠です。しかも、センサーがついていないので、不適切な使用をし、副作用が起ころうとしていても警告などはありません。また、ほとんどの場合に、効いたかどうかは一般の人には直ぐには判断できません。さらにやっかいなのは、適正に使用したとしても副作用や好ましくない作用がゼロではないということです。


 「いつも使用している薬なので安心」とか「常に効果がある」という利用者の声をネット販売業者は取り上げています。しかし、こうした場合にも、単に使用者が”効いた”と思っているだけの可能性があります。何か特殊な理由がない限り、一般用医薬品を恒常的に使用しなければならないような疾患は想定できませんし、常に同じような効果が期待できることも考えにくい状況です。他の疾病が隠蔽されていたり、新たな副作用を引き起こしてしまっている可能性がありますので、こうした人こそ医師や薬剤師に相談すべきです。


 手軽に購入したい医薬品の例として、総合感冒薬(かぜ薬)がよく取り上げられます。風邪薬も配合薬(複数の成分で構成されている)であり安易に使用すべきではありません。スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症など科学的に十分に解明されていない重篤な副作用もあります。利便性や経済性だけで医薬品を語っている人は、薬害被害者団体の声をどう受け止めているのでしょうか?副作用被害防止などの育薬やセルフメディケーションに対する国民への啓蒙に貢献せずに、利益の部分だけを守銭奴のように追求することは、医薬品には馴染みませんし、そうした業者は医療から排除すべきです。
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by stylejapan | 2009-09-30 09:57 | OTC医薬品の開発
医薬品=薬剤+情報
医薬品とは「目に見える薬剤」に「目に見えない情報」がプラスされては
じめて製品になる。塩酸ジフェンヒドラミンという抗ヒスタミンは医療用ではアレルギー疾患、すなわちヒスタミンを抑え鼻水、かゆみを抑える花粉症や皮膚掻痒症の治療薬であるが、重大な注意事項として「眠気を催すことがあるので、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作はしないように」と明記してある。医療用の「副作用」がOTCでは「主作用」になって、週刊誌などが「睡眠改善薬」の画期的な新製品としてとりあげて誤解を生んでいる。この他にブロムワレリル尿素など尿素系の成分を含んでいる製品も同じく、副作用が主作用になるだけで新製品の登場である。  
薬の箱や中に入っている説明書に、「医師、薬剤師に相談してください」と書いてあるが、医師も薬剤師も、いきなり、薬の実物を出されたり、説明書について訊ねられても正確に答えられないことが多い。まして一般の生活者なら間違った選択や使用は日常茶飯事である。
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by stylejapan | 2009-09-29 01:44 | OTC医薬品の開発
社会に対するOTC医薬品の啓蒙不足
1) 社会に対するOTC医薬品の啓蒙不足~自己責任を求められる消費者の不安

少子高齢化が進む中、健康年齢の伸長や医療費の高騰に対して、政府は「セルフメディケーション」政策を推進しているが、過去に、医薬分業が不完全で医薬品情報の提供も徹底せず、ましてセルフメディケーションに関する情報提供などが十分に行われてこなかったため、セルフメディケーションの考え方が明確な割には社会への浸透が不十分な状況にあると考えられている。すなわち、消費者が自己判断で対処するためには、正確な情報を適切に入手できることが前提条件であるが実態はそうはなっていない。医薬品に関する知識に関しては消費者との間に大きな差が存在するが、だからといって消費者に力をつけさせることが中途半端であってはいけないと考える。


2)消費者と共に歩むことを強く意識したメーカービジネスの試み

セルフメディケーションとは生活者の自己責任によるケアであることを考えれば、積極的に消費者寄りの立場に立った発想を基準にするべきである。メーカーがきちんと製品を作り、薬剤師が「注意して販売」しただけでは、今後ますます認可されるスイッチOTC薬が登場してくると誤用や不適正な使用を防ぐことはより難しくなる。
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by stylejapan | 2009-09-29 01:41 | OTC医薬品の開発
OTC医薬品の開発~ヘルスケア・イノベーション
セルフケアについて一緒に考えましょう・・・・

現代の疾病の多くは細菌や外的な衛生条件の不備によって起るのではなく、

各人の持つ体質(内因)や生きざまの歪によって起るものです。

特に軽い疾病の場合には日常の生活習慣、食生活、生活の中のストレス、

あるいは精神状態やまわりとの人間関係、仕事のなりゆき、生活環境などに

関係があります。人生を意義深いものにするために自分自身をよく観察し、

理解し、コントロールすることが大切です。

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“人生を大いに楽しむ”このことがSTYLEJAPANのキーワードです。

健康そのものが人生の目標であるはずがありません。

また私たちが取り上げるセルフケアの概念は、専門的な医療を

否定した自己治療にたよるものではなく、また専門医療従事者の指示に

従うだけの消極的なものでもありません。

それは、セルフ・イニシアティブによる積極的なセルフケアです。

すなわち「私たちが自らの健康問題を、自らの利用しうる資源(専門家によるケアも含む)

を活用して、その解決のために自己の判断力や実行力に基づいた行動をとる」

というものです。


“薬は毒です”病気に対する抵抗力は日常の生活態度に関与します。

いたしかたない場合に、身体の自然の回復力を助けるために、薬を服用しますが、

薬そのもので病気を治すことはできないのです。

薬には副作用があることをよく認識した上で、ひとりひとりが薬に対する

正しい知識を身につけなければなりません。

おしつけられた薬にたよるのではなく、また、個人的な判断に終始することのない

積極的なセルフケアの普及に努めたいと考えています。
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by stylejapan | 2005-07-25 10:49 | OTC医薬品の開発