21世紀を生きる私たちが、それまでの人たちと決定的に違うのはゲノム的な世界観を持てることだといわれている。
ゲノムとは、遺伝子(gene)と染色体(chromosome)から合成された言葉で、DNAのすべての遺伝情報のこと。それによって、今はっきりと人とチンパンジーは、塩基の配列で98.8%同じであることが分かっている。
そのことは、人間は98.8%チンパンジーだといってもいいし、チンパンジーは98.8%人間だともいってもいいことになる。
チンパンジーと人との違いは、「想像するちから」にあるとする。人の希望や絶望もこの「想像するちから」を身に付けたところから始まったという。人はチンパンジーから枝分かれしてから後、言語や文化、あるいは文明は飛躍的に発達したかもしれないが、その代償としてチンパンジーたちの「明日を思い煩うことのない心」の世界からは遠く離れてしまった。
しかし、想像する力があるからこそ未来に対して希望を持つことができる。どんな悲惨な状況にあってもその将来を信じて希望を持つことができる。それが人間の人間たる由縁であり、想像する力こそが、自らの成長、ひいては社会の成長につながるといえるだろう。