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ブランド構築の難しさ その4
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ファンを獲得することは容易くはない。

ブランド構築の目標はファンの獲得であるが、そのように理解したとしても大概の人は売上につながることを優先するので、「買ってくれた人=ファン」と捉えがちになる。

以前住んでいた近所の露地裏に小さなコーヒーショップがあった。
7坪くらいの縦長の空間の入口には手入れされた焙煎機。その後ろには7人が座れる小さなカウンター、壁際にそって二人掛けの小さなテーブルが3組。
年季の入った漆喰の壁、板張りの床、小さな白熱電球の明かり、微かに聴こえるジャズの音色、品の良い真っ白なジノリのカップ&ソーサ、コーヒーミルの音とともに広がる香ばしい香り、着古したTシャツとジーンズを身にまといぼそぼそとしか喋らない初老のオーナー、客の注文に応じてネルドリップで一杯のカップに全神経を注ぐ姿、ジーンズのポケットからキャメルの煙草を取り出しジッポーのオイルライターで火を点ける仕草、無類の映画好きであること、店と自宅の往復に使う旧式のボルボのワゴン、、、これらのすべてが彼の「美学」にもとづくものである。

彼の仕事に対する真摯な姿勢、さらに空間の編集力、コレクション、振る舞い、そして人間的な魅力、それらを支持する顧客がファン層を形成するために、その人たちは「類友」としてのまとまりを見せる。その結果、顧客同士の交流が生まれたりする。僕が引っ越す際には、皆が送別会を行ってくれた良い思い出がある。

だから、根強いファンの存在が理想であるとするなら、提供する商品やサービスの角度からしか顧客を見るべきではない。
構築しようとするブランドの全体像が他者にとってどのような価値が認められるものであるかどうかである。
それにはまた、独創的な発想も不可欠である。安易に流行の一部を切り貼りしたような想いが存在しない姿勢では上手く行くはずがない。

「正しい道筋」からしか、本当のファンの獲得には至らない。











by stylejapan | 2014-04-12 10:02 | 地域再生
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