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No Fences
生体で起こる化学反応に対して触媒として機能する分子のことを酵素というが、これらは極めて優秀な活性化プロデューサーのようなもので、それまで立ちはだかっていた壁をグッと押し下げ、そのことで一瞬で反応が起こり新たな生成物が誕生する。

地域や業界の活性化も同じかもしれない。必要なことは、ウチとソトの間に存在する壁を押し下げるか、もしくは取り払うことで、それによって新たな反応につながる。

日本には欧米とは異なる“日本的”な社会が存在する。それは人と人との距離が遠いことである。職種が違うと異なった社会に住んでるが如くである。逆に組織や団体、業界、地域、村、あるいはサークルといった「かたまり」においては、その距離は急速に接近して「しがらみ」が生まれたりする。また、それらの内部には特別なルールや慣例が存在するが、それらは「ウチ」においてのみ機能するもので、「ソト」にはおよばない。
いわゆる社会全体を網羅する約束事がないか、あったとしても「ウチ」にはかなわないのだと思う。
考えが「ウチ」に縛られるゆえに視野が狭くなり、欧米人と比べて公共性に対する感覚や社会全体への意識はかなり見劣りする。
また、このことが国際外交の弱さや、大きな社会問題となっている「ひきこもり」の要因にもなっているのではと思う。

経済成長が見込まれない状況下で、「ソト」に向けてビジネスや観光客の誘致を図っても徒労に終わる理由のひとつとして、このような“日本的”な社会が壁になっていると思う。そこでは、「ウチ」の都合でしか物事を考えていないからだ。

そのようなことから、今、関心があるのは「かたまり」を超えた(業界や地域を超えた)新たな動きや流れをつくる手法についてである。軸になるのは、社会性や公共性以外にないと思う。

「ウチ」と「ソト」、人と人を容易に結びつける「流れ」が出来ることを期待している。
by stylejapan | 2012-09-05 21:12 | 地域再生
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