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地方自治体が主導するブランドづくり
ブランドとは、モノづくりやサービスのマーケティング分野において使用されている概念で多くの定義が存在するが、地方自治体が掲げるブランドへの取組みの多くは、これとは異なっていると思う。

これまでの街おこしイベントや特産品のPR活動を「ブランドづくり」と言い換えたものが多く、本来のブランドの概念とは異なる理解の上で進められているケースが多い。

ブランドづくりの意義は、消費者に付加価値の提供を約束することで他との差別化を図りながら、市場における長期的な競争優位性を確立することにある。
それにもかかわらず、博報堂がまとめた各自治体が掲げるブランドづくりの骨子には「ひと」「歴史」「文化」「自然」「緑」「水」「ほんまもん」「伝統」などの同じ言葉が多用されている。

ブランドづくりの目的は、競合相手との差異を与えることにより、消費者がブランドの取組みに対して新しい価値を感じてファンになり、また伝道師になり、その結果、競争優位性が確立されるものであるはずが、これでは本来のブランド構築の目的が達成できるはずがない。

ロゴマークやユルキャラが制作され、ハッピやTシャツ、幟を作ってのイベント開催などのプロモーション作業に終始しており、それらが消費者にどのような価値を約束しているのか、またそれが競争優位性につながっているかといったような視点は抜け落ち、本来のブランドづくりとはかい離したまま、シンボル作成やイベント開催などを実行することが最終目的のように捉えられている場合が多い。

ブランドとはそもそも受け手側からの評価である。それを獲得するために共感される「想い」を軸に独自の世界観を打ち出し、評価の舞台に上ることがそのプロセスである。

目立つための作業に終始したり、ファンの獲得が意識されないまま、地域側からの一方通行、悪く言えば自己満足的なものではいつまでも未来への明かりが見えては来ない。未来を担う子供たちのためにも大人たちがしっかりしないといけないと思う。
by stylejapan | 2012-05-09 11:43 | 地場産業の活性化
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