地場産業の活性化策のひとつとして、商業が培ってきた顧客との関係作りを提案してきたが、その背景には、僕の学生時代にはなかった新しいマーケティング発想がある。
一般的に消費財の製造業では、消費者を製品の使用者として捉えることで戦略を構築してきたが、そこには製品を買うのが必ずしも消費者とは限らないことから、製品価値を伝えられないという視点が抜け落ちていた。
ブランドと言えばギフトにもつながりやすいが、購入者はもちろん使用者ではない。
またギフト以外でも、主婦が子供のため、あるいは御主人のために何かを買うなども、購入者≠使用者は異なる。
一方、小売業側では、日頃からの接客の中でそのようなことは当たり前に理解できていたので、購入者を「使用者」と「自らは使用しない購入者」の二つに分けて戦略を練ってきた。そのことにより、自らのブランド価値を丁寧に上手にそれぞれに伝達することできた。
そのことが、近年、製造業よりも商業がブランドを構築するようになった理由の大きなポイントである。