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医師による医薬分業の提言
情報公開
医療界はお役所と同様「情報公開」の遅れた業種です。特に薬に関して。インターネットの時代に、自分の飲む薬の名前さえ知らされていないのは、ちょっとおかしいとは思いませんか?薬代を払うのは患者さん自身なのに。薬の副作用の説明をすると患者さんはいらぬ心配をし、治療の妨げとなり、結局患者さん自身のためにならないと、多くのドクターは言います。確かに一理あります。服薬の不安を与えないための一種の「思いやり」でしょう。しかし患者さんのニーズは、ドクターが考えている以上に確実に変わってきています。薬の名前、効果、副作用を親切に説明することが、今後一層求められてくると思います。薬の効能を追求する医療よりも、万が一の副作用を未然に防ぐ事の方が重要な時代がやってくるはずです。もちろん薬の説明はドクター自身がするのもいいでしょう。しかし時間的余裕がないドクターは薬剤師に任せては如何でしょうか。彼らはドクター以上に親切に、上手に説明します。しかも患者さんは、処方したドクターよりも、第三者の薬剤師のほうが質問しやすいと言います。

薬の安全性
多くの医院では、医療事務員あるいは看護婦が調剤しているのが現状ではないでしょうか。調剤ミスは今まで一度もありませんでしたか?私の所では苦い経験があります。やはり薬の専門家の薬剤師のほうが安心です。もちろん薬剤師も人間ですから絶対ミスがないとは言えませんが。診療圏内に何軒かの薬局があるはずです。そこの薬剤師は貴重な人材です。利用しない手はないと思います。又、失礼なことを言ってお許し願いたいのですが、ご自身の処方ミスという事も考えておかなくてはなりません。私自身もありました。私の何人かの友人も正直に告白してくれました。ノーミスの方はむしろ少数派ではないでしょうか。安全を期すには、やはり薬の専門家に処方監査をしてもらうのがよいと思います。患者さんが複数の医療機関にかかっている場合、重複投与や相互作用にも気を付けて処方されていると思います。アレルギーの薬歴管理にも注意されているでしょう。しかし多忙などの理由でなかなか完全にチェックしきれないものです。やはりこれも薬剤師の力を借りればとても心強いものです。

患者さんのための分業
さて、「医薬分業は二度手間で患者さんに迷惑がかかるので踏み切れない。」とおっしゃる方が多いのですが、如何でしょうか?私は発想の転換をして次のように考えています。分業は自分のためにするのだと考えるから躊躇するのでしょう。患者さんのためにするのだと考えれば積極的になれるはずです。もちろん患者さんに喜ばれる医薬分業であって初めて言えることですが。分業が患者さんのメリットになるのであればそれは患者サービスとなり、医院のイメージアップになるはずです。そして回り廻ってドクター自身のための分業となるでしょう。もし初めから患者さんのことを度外視し、自分のためだけの分業を進めれば、その逆の事が言えるかもしれません。情報公開と薬の安全性を大切にする分業をすれば、今までとは異なる新しい医療が見えてくるはずです。私はそれを未来志向型医療と呼んでいます。きっと社会の評価や信頼性を高め、先生ご自身も満足できる医療になるはずです。是非ご検討ください。
患者さんのために「面分業」を
「患者のメリットを最優先する分業」をするのであれば、薬を住まいの近くの薬局でもらう「面分業」が優れています。どこの医療機関にかかろうとも、常に同じ薬局に処方箋を持って行き、薬剤アレルギーや重複投与、相互作用のチェックをしてもらう。これを日本薬剤師会は「かかりつけ薬局」といって推奨しています。一方、この病院にかかった時はこの薬局で、あの医院の時はあの薬局、というふうになるとこの機能は発揮できません。「利便性」よりも「薬の安全性」を重要視する分業が大切です。それは結局、患者さんのためになることです。

リベート分業の危険性
処方箋発行の意志表示をすると、多くの場合、調剤薬局チェーンの業者などが門前に薬局をつくらせてほしいと言ってきます。もちろん最近はリベートなど持ち掛けることはないと思いますが、それでもよく考えてみることが大切です。「面」に広がらない分業は「患者のための分業」とは言い難い。

マンツーマン分業の欠点
特定の薬局にのみ処方箋を発行することを「マンツーマン分業」といいます。でも、医療機関が薬局を指定することは、法律的に禁じられています。従って、他の薬局に処方箋を持っていくケースが必ず出てきます。薬の備蓄不足があると患者さんに迷惑がかかり、結局は分業への理解が得られなくなります。また、薬局がなんらかの都合でお休みした場合や廃業した場合、代替薬局が無いため対応できなくなる恐れもあります。更に、患者さんの込み合う季節には、医院の混雑がそのまま薬局に持ち込まれます。面分業であれば、処方箋が分散され、薬の待ち時間の点でもメリットがあります。この点、薬の待ち時間がいつも長い広域病院では、一年中有効です。遠方の患者さんでは、FAXを利用すると、薬局に到着するまでに調剤は終わっており、大きな患者サービスとなります。

服薬指導
小児科医に内科の服薬指導が出来ないように、薬剤師に初めから上手に説明するよう求めても無理というものです。ドクターは一人前になるのに何年もかかります。病気の説明も初めから上手なわけではありません。経験が必要です。同様のことが薬剤師にも言えます。副作用の説明は難しく、奥が深い。同じようにお話しても患者さんによって受け取り方が随分違います。薬剤師にも試行錯誤の経験が必要です。私は副作用を積極的に説明するようお願いしていますが、指導がうまく行かなかった時でも「それはよい経験をしましたね。これに懲りず、今後も積極的にお願いします。」と言うようにしています。ちょっと、おこがましいですが「良きパートナーを育てる」という気持ちでいます。

今まで薬は医院でもらえたのになぜ薬局に行くの?
「薬の安全性」のためです。薬の専門知識を持つ薬剤師さんが薬の量や飲み合わせに間違いがないか確かめた上で正確に調剤します。もうひとつは「情報開示」です。薬の名前や効能、副作用などを親切に説明します。
じゃぁ薬剤師を雇えばいい?
それはいい質問ですが、経営的にせいぜい雇えるとしても一人です。ところが、町の薬局は法律上、一日40枚の処方箋につき一人の薬剤師を置かなければなりません。40枚以上来れば二人、80枚以上なら三人の薬剤師が必要ということです。余裕を持って調剤や薬の説明が出来ます。その上、町の薬局は、処方ミスを見逃して調剤しただけでも法的に責任が問われます。そうなれば自分の薬局の存亡にも関わります。そういった面でも慎重にならざるを得ないのです。患者さんにとっては、より安全な薬がもらえるということになります。一方、病院の場合は元々薬剤師が居ますが、この「員数規定」が町の薬局より緩いので、一般に薬剤師不足で服薬指導の余裕がない。しかも、「調剤はドクターの診療の一環である」との認識のため、薬剤師としての主体性が弱い。法的責任は町の薬局よりも小さいということでもあります。

医師は本来薬を出さない
医師法第22条 処方箋の交付義務 「医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者またはその看護に当たっている者に対し処方箋を交付しなければならない。」原則はこのようになっていますが、例外規定がいくつかあり、それをさらに超拡大解釈しているのが現状です。

by stylejapan | 2009-09-01 02:45 | Selfcareについて
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